変圧器たち

へんあつき-たち

トランスフォーマー スタジオシリーズ SS-109 スカージ

私も劇中そっくりアドオン買っちゃってるし何ならこれ書いてる時には劇中ヘッドに換装しちゃってるんでオリジナルの頭部に関して何言っても「頭部換装してるオメーが何言ってんの?」ってなるのは明白なんですが、SS-109 スカージのオリジナルの頭部、確かに劇中には似てないんですが(毎映画恒例のオルトモードとロボットモードのコンセプトアートだけ渡されて開発スタートだったんだと思います。そっくりコンセプトアートがあるので)、それも含めて大大傑作のプロダクトだと思います。

動画やスチールで事前に公開されていたスカージは非常に愁いを帯びた眼差しと言うか、悲しみを讃えているようにも見える表情が印象的だった訳ですが、映画観終わった後の感想としてはあれは悲しみではなくて諦念と恨みと怒りがないまぜになった絶望の表情だったと結論しました。彼の魂はとっくの昔に死んでおり、恐らく元の彼自身は安息を求めているのに、ユニクロンによって常に怒りと忠誠を注ぎ込まれて永遠に道具として生かされ続けている元勇者の、すべてを諦め、すっかり疲れ切った顔だったんだと思います。そう考えると本作ラストで今の唯一の生きている理由であるユニクロンをこっちのバースに呼び寄せることに失敗しそうになった時の慌てっぷりや、その後の弱体化もよく理解できる気がします。R.I.P.

で、この玩具のスカージヘッドはその絶望と諦念を絶妙に表現している素晴らしいスカルプトだと思います。

頭部ヘッドは大きく3パーツも使われているという豪華仕様。頭部を頸椎で繋ぎ、頸椎部分は軟質パーツで覆われるという構造です。

この頸椎パーツを3つくらい複製して連結してですね、オプティマスによる延髄引っこ抜きシーンを再現出来ないものかと思いついたりしましたけどどうだろう?上手い事延髄に見えないだろうか?

この頸の構造によって機微な表情付けが可能になっており、上の画像なんかちょっとゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」みたいな怪異と異形の雰囲気を醸してて我ながら上手く撮影できたな、と独り言ちてます。

箱から出した姿が劇中のユニクロンに激詰めされてる姿に似てるとネタにされてましたが、童夢の壁ズンされるチョウさん感もあって良いですね。実際にちょっと面白く感じているのはこっち側の感性であって、破損防止で固定したらこうなっただけなんだと思いますが、前にも梱包ポーズで面白はあった気がするので、今後そういうネタが増えてくるかもですね。

オルトモード:

非常に情報量が多く悪役らしい車両ですが、多くの部分がプロップ車両のディティールを踏襲しています。実車のベース車両はピータービルト 359 と言われていますが、本玩具ではライセンス取得無のようです。

実車のボンネット横についている盾向き円筒形のエアクリーナーパーツと、その前方にある横向きの円筒形のパーツ(機能不明)も実車にあるディティールですが、玩具ではそれがロボットモードの肩関節を構成するパーツになっているという超神設計。天才か(天才です)。

バンパー部分のカウキャッチャー的な張り出しも実車にそっくりですね。

ボンネット前部のアニマルガードは流石に変形せずにロボットモード準拠でのデザインですが、これが一層悪役感を醸しててプロップ車両よりももっとなんというかビーストハンターズでの過剰デコレーションされたリデコモデルっぽさを感じます。

これは武器モードのフリーザーを乗っけてますが、こうやって見るとフリーザーの武器モードって映画「エイリアン」のスペースジョッキーっぽいディティールに見えますね。

フリーザーの腕のペグをスカージの左腕武器を展開したパーツのスロットに差し込むことで固定しますが、スロットは前後 2 か所にあるので鼻鏡な位置調整が出来ます。しかしここ、緩いうえに滅茶苦茶取り付けが面倒くさくて結構大変。

ロボットモードの右腕の交換武器を展開したパーツ、結構苦し紛れに余剰無し再現してんなと思ってたんですが、このパーツ実は実写でリアフレーム上に設置されているタンクとミキサー車のコンクリを送る部分のパーツみたいなヤツ(カプラの両脇に設置されている円筒を縦半分に割ったような奴ですが、どういう目的のパーツなんでしょう?)を再現しようとしてるんだと気付いて大変感動しました。

https://pbs.twimg.com/media/FmWlAGOXgAMySLc?format=png&name=900x900

TransformersAltModes on X: "Here's a few comparisons between Scourge's Studio Series figure and on-screen Peterbilt 359 mode: https://t.co/u2j4Ls6uRM" / X

正直見立てにしても厳しいとは思うんですが、その設計者の心意気たるや。

他のトランスフォーマーから奪ったインシグニアをフロントグリルに多数配置してますが、スカージはどうやってここに取り付けてんでしょうね?

劇中ではビーから奪ったインシグニアを自分でロボットモードの肩に溶接してましたけど、オルトモードのここに貼る作業はどうやったんだろう?一部だけオルトモードのままにしてちまちま作業したのか、ナイトバードあたりにやってもらったのか。

この趣味が彼の狂気を表しているものであり、同時に最後の人間性を示すものでもあるってところは凄く好きです。

リアフレーム搭載三様。上に何も積んでない方が実車っぽさは増す気がします。

腕の収納が実は丸見えなんですが、カラーリングのお陰で全く違和感なくぱっと見馴染んじゃってるのも設計の妙。

今見るとこれ、キャビン側面の受け部分に左腕の爪が正しくハマっていないのでちょっと側面が浮いちゃってますね。左上で詰めの部分を受けるガイドがあってそこにちゃんと嵌ります。右腕側はブレードのペグを脚部のスロットに固定するのでしっかり定位置があります。なんとなく押し込むみたいなふわっと変形のTFもありますが、これに関しては各部大体カッチリ決まります。

オルトモード底面。この状態だと貧弱スカージ。脚部が非常に細く見えて、ex.Twitter でも上半身に比べて脚部が貧弱って苦言してる人が何人か居ましたけど、これがロボットモードでポーズ付けてやると全然貧弱に見えないの!この魔法みたいな設計は誰作なんでしょうか?

タカラトミーのオフィシャルサイトではオルトモードを材木輸送用トレーラートラックと記載しているんですが、あんまりそうは見えんよね。トラクターヘッドだから後ろに繋げるトレーラー次第なとこはありますが、実車でもカプラの両サイドに謎のパーツ積んでるのでそれ降ろさないとトレーラー接続できないですし。

ThirdParty の Add-on ではタンカー設定でリアフレーム上に設置するオイルタンク(分割して肩パーツにになる)とかありましたけど、この辺りはオマージュ元の一つであるとされている「激突!」のタンクローリー辺りを底本にしているのかもしれません。

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ロボットモード:

劇中に似てない?まあそりゃ確かに。なんだけどこれはこれで納得の敵役なんだよなあ。ガンダムとか非変形ロボットフィギュアに親しんでいる人からすると多分「全然違う」って言いたくなると思うんだけど。

ゼータプラスのプラモデルだって未だに最初のカトキデザインのウェーブライダーの時の膝下を太ももと同一軸線上に配置できなくてゼータガンダムと同じクランク状になってるじゃん?

それにこのスカージのこのデザインはコンセプトデザインの「SCOURGE GRAY RENDER TEST」のデザインに基づいており、それと比較すると驚くほど似ていました。

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レンダーテストって事は決定稿になりかけたって事ですかね?主な差異は

  • 隠れ切れていないオルトモードのバンパー
  • 膝部分のタイヤ位置(玩具と異なりタイヤがそのまま膝関節になるデザイン)
  • 脹脛部分の隠し切れていないタイヤ(レンダーテストモデルでは股関節部分にタイヤが配置される設計で玩具でもダミーがモールドされています。
  • 変形のつじつま御合わせるための諸々を背負った背部

位じゃないですかね?トレーラー連結するカプラが左右二分割されて太もも前面にモールドされており、これは玩具でも踏襲されているんですが、それから考察すると股間部分がオルトモードの再後端部になるというかなり無茶な変形をしてそう。

バンパー部分は確かに取り外しちゃえば劇中のぎゅっと絞られたウエストを再現できそうで、ex.Twitter上でそういう加工している人も数名いらっしゃるみたいなので試しに外してみようかと思ったんだけどどうにもピンが固くて抜けなかった(´・ω・`)

可動は秀逸。立膝もスーパーヒーローランディングもこなしますが、この画像は最初期のまだ恐る恐る触ってた時に付けたポーズなのでいまいち様になってないですね。

肩回りが一寸ロック外れやすい気がしますけど、それ程ストレスになりません。変形時にフロントグリル(ロボットモードの胸部)が滅茶苦茶外れやすくて「差し替え変形かよ!」って思う程なんですがここはクリアパーツをアームに固定しているので力がかかりやすく、外れずにテンション掛かると破損に繋がる為、海外版のピン打ちからはめ込みのみに修正したところらしいので素直に受け入れるのが吉だと思います。

ex.Twitter ではキャビン部分が結構固くてクリアパーツなので破損しそうってtweet(旧表現)が多かったので変形前にシリコンスプレーシュッシュしましたけど、そのお陰か私の個体では特に固くて壊れそうって箇所はありませんでした。

スタジオシリーズですが集光ギミックあり。ちょっと寄り目過ぎる気もしますが集光ギミック本当に良いですよね。胸部もフロントグリルがクリアパーツなので中にLED仕込めばいい具合に光るそうです。実際に釣り具用のLED仕込んでる人が居たのでこれは真似したいところ。

右手側のブレード。作り付けのブレードがアーム稼働して把持した状態にも出来るというギミックですが、劇中この持ち方はしてなかった気がします。ラストのミラージュとの決戦シーンで「ジャ!」「キン!」って展開したの格好良かったですけど、あの状態が玩具では定位置になります(あれどっから出てきたんだろう?)。

左手はクローは各爪が付け根で開閉可能。肘から取り外し可能なので全関節可動アドオンとか出るかもしれないですね。

クロー部分が変形したカノン砲。菅具では差し替えで再現。腕から武器生えてくる方式のTFと手持ち武器使うTFの違いって何なんでしょうね?体格かな?今作ではアーシーの銃は手持ち武器っぽかったけど実はあれも生えて来てたりするんだろうか?

フリーザー変形銃を構えるとこう。左腕変形銃があるので実際にこういう事は無いんだろうけど格好いいですよ❤。関節保持力強めなので安定して構えられるのが良いですね。

適当ポージング。全身に巻き付いてる鎖はオルトモードの時にじゃら付かせているヤツの表現で、劇中ではロボットモードで体に巻き付かせていることは無かったような気がします。

玩具のこの鎖巻き付いたデザイン最初に見た時には、この鎖を武器として使って優位に立ってたところ、相手に鎖掴まれて形勢逆転したあとに思いっきり引っ張られてバラバラになってしまうパターン(ドロップキック死亡シークエンス)を連想してしまって不穏な感じがしてましたが、まさかもっと惨い、そしてある意味恒例の殺られ方してたので安心しました。

脹脛側のタイヤの厚み減らしギミックや、足首の変形にも結構パーツ分割して対応していて、蓮からのコスト減指令に一旦大簡略化で対応する癖にじわじわ部品点数増やして来たり構造複雑化してきて利益減らしていくタカラの悪癖(ファンにとってはとってもありがたい)が垣間見られる今回のスタジオシリーズであります。ムービーは生産数増やせるから多少のコスト増も吸収できるって事かも知れないですけどね。頑張れタカラトミー

駿河屋にて5750円で購入。