変圧器たち

へんあつき-たち

Transformers Animated Deluxe Class Blackarachnia (2008)

本作も Alexander Kubalsky 氏による設計なのでビーストモード/ロボットモードともその造形、スタイリングは非常に美しいですね。しかしアクションフィギュアとしての観点からすると可動性能は低め。製造上の問題でポロリし易かったりもあるので扱いはまあまあ難しいです。


Interview With Toy Designer Alex Kubalsky - WindyCityLUG

この型を使ってビーストウォーズ版のブラックウィドーがトランスフォーマーレジェンズ枠から発売されていますが、(あれはアレでリデコも良かったんですけど)この体形はビーストウォーズキャラとしてはちょっと違和感ありましたね。アニメイテッド玩具はいずれもTFアニメイテッドのセンスを非常に濃く反映しているので他バースキャラに転生させるのは難しいと思います。


Transformers: Animated - Wikipedia

本筋とは関係ないけど私、海外版 Transformers Animated のロゴが滅茶苦茶好きなんですよ(”Trans” と ”Formers” が二行になってるデザインなのも少し珍しいですよね、と思ったらそうでもなかった1)。シンプルで未来感あって非常に素晴らしいデザインだと思います。このロゴのアクリルスタンドとか出たら買うわ!と思うんだけどまあ単体では絶対無理なのでトランスフォーマー歴代ロゴアクキーとか企画して欲しい。日本版 TF アニメイテッドのロゴは英語表記の癖してこれ使わずにベイバース映画版のロゴに似たヤツになっちゃててとても残念。このロゴもアニメイテッドでしか使いまわしできないと思うので、 あのキャラデザインでリブートした作品でも出来なきゃこのロゴが再び使われることは無いの勿体ないですね。

ビーストモード:

オルトモードは Archa Seven arachnid 大量のエネルゴンキューブを搭載したディセプティコンの軍艦が不時着したとされる有機惑星 Archa Seven に生息する有毒の巨大蜘蛛類の姿です。この蜘蛛に襲われたエリータワンが自らのダウンロード能力を有機生命体である蜘蛛に使ったところ有機毒を体内に取り込んでしまいりフォーマットされた姿、なのでディスガイズとはちょっと違う異形な姿になってしまう人間ものホラーのような顛末です。TF 的にはビーストウォーズ世界のテクノオーガニック(有機体を取り込む)のようです。

後ろ側の2対の肢はそれぞれロボットモードの脚、腕なので比較的よく動きますが、一番手前の肢には1か所関節がありますが付け根部分はほぼ動かず、その次の肢は軟質パーツでほぼ動きません。前2対の肢は付け根の回転軸を共有しており付け根部分で同時に上下させることが出来るのですが接地とか凹慮すると使いづらいです。前後方向のスイングはそれぞれ独立しているのでいい塩梅に均等な間隔で足を配置する、とかには使えます。

口吻と紫の牙は可動します。口吻は可動させたところであんまり見た目に影響しませんが牙はかなり目立つので表情付けに役立つかもしれません。

胴体部が非常に軽く、肢の保持力も高い為腹を浮かせた姿勢で保持できます。ビーストモードもロボットモードも細部は結構似ていないんですが、蜘蛛肢の一番後ろのカーブや、黒x金で統一された肢部のカラーリング等玩具オリジナルの美しい蜘蛛に仕上がっています。ハスブロ側のデザイナーはアニメイテッドアーシーと同じく Eric Siebenaler 氏のようなので、玩具のビーストモードは彼のデザインではないかと思います。

おもてうら。上から見るといい感じにデフォルメされたロボット蜘蛛、という趣ですが、設定上は有機生命体です。劇中の姿はなんつーか宇宙家族カールビンソンでアジーン、ドワーが撃墜し損ねて惑星アニカに不時着した敵性エイリアン(コロナちゃんとターくんで二人場折りしておもてなしした)に近い見た目の気がしました。

裏側から見るとかなり変態的なポーズをしているように見えますね。

ビーストモードの腹には糸を引き出すことが可能なクローパーツを取り付け可能で蜘蛛の糸として見立てることが出来るようになっています。

つまりはこんな感じで蜘蛛ボディを吊ることが出来ます。

あんまり必要性はないけど蜘蛛の腹はせり上げることが出来ます。

最近のデラックスクラスとサイズ比較。これはトランスフォーマーアゲイン BWVS-04 執念の対決版のブラックウィドーですがトランスフォーマーキングダムの型ですね。正史に繋がるのかどうかは判りませんが、アニメイテッド世界でのブラックアラクニアは暴走したトランスワープフィールドに飲み込まれて(その犠牲を最小にするため自らが犠牲となって時空を超えて別世界に飛ばされてしまうんだけど、その飛ばされた先で彼女を出迎えたのはゴリラ、サイ、チーター、ネズミだったというオチが付くのでこの二人は同一人物の可能性があります。当該話のタイトルも ”Predacons Rising” だしね。

アニメイテッドアーシーのオルトモードとの比較。本編では一切関わらないんですが、日本版OPで直接対決しているので。あのOPは最初に登場する謎黒幕(風)含めて全てイメージ映像というか、ボーナス映像的なものなので本編とは全く関係ないシーン多いですよね。

ロボットモード:

腕の側面のビーストモード時の蜘蛛肢の爪はキブルとして目立ちますが、これも武装と考えれば非変形のアクションフィギュアとして十分通るデザイン、スタイルだと思います。

ビーストモードの口吻と牙が腹部、わき腹に綺麗に収まってウエストラインを形成する設計の見事さには感動してしまいますが、この牙部分が非常にポロリしやすいんですよね……蜘蛛頭をスライドさせてロボットモードの胸部にするんですが、このスライドが最後まで行ってなかったりすると畳んである腰部を定位置に嵌める時にボールジョイントからこの牙がはじけ飛んでいきます。

後頭部は丸っとクリアパーツで無塗装。背部に蜘蛛の腹部に内蔵されていた武器を取り付けることが出来ます。脚部は膝下にカーブがつけられており、自然にS字立ちになるデザイン。蜘蛛肢時の側面の突起の一つが踵になって後ろにコケるのを防いでいますが、フットプリントが非常に小さいので自立安定性は非常に低いです。但しアクションポーズ時に自立安定性を助ける為のギミックがあります。

蜘蛛の腹部は腰の位置に移動して固定されます。重MSの推進器内臓リアスカート程度のサイズに収まっているのでキブルっぽさはありません。

https://tfwiki.net/mediawiki/images2/e/e8/FinalAniBlackarachnia.jpg
Blackarachnia (Animated) - Transformers Wiki

腕とか脚とか、設定上のデザインは細くデフォルメされているので実は劇中の姿とはそれ程似ていません。アニメイテッドアーシーとは逆に玩具の方が頭身高くなっちゃってるのでもうちょっと頭部が大きくても良かった気はしますが、これはこれで良いアレンジだと思います。

ちょっと塗装がダルいですが細かく塗り分けられた頭部。尚ヘルメット部分は自前の物ではなく、蜘蛛女に変貌した醜い顔を隠す為にディセプティコンの戦艦内に偶々転がっていたヘルメットをかぶっています。2

ヘルメットは劇中では釣り鐘型というか下部が絞ってない形状なんですが玩具では下の方が狭まったデザインになって居るのでヘルメットをかぶっているというよりは覆面レスラーみたいな印象になっちゃってる気がします。

オプティックは集光ギミックありで4眼。このアイディアはビーストマシーンズからですかねえ。関係ないけどマシーンズブラックアラクニアをロボットモード劇中そっくり顔でリメイクして欲しい。

アニメイテッドは絵柄に反して重い話が多いですが、このブラックアラクニアも非常に重い出自を持つ姿で、元はエリータワンだったのが宇宙巨大蜘蛛の毒に侵されて(劇中での「説明」では自信のダウンロード能力を有機生命体に使ってしまったが為に有機毒を体内に取り込んでしまって機械生命体x有機生命体のハイブリッドであるトランスオーガニックに変貌してしまったという設定があります。この辺の設定はビーストウォーズの「なんやエネルゴンつよつよだから胴部にになっとこうぜ!」みたいなノリではなく、アニメイテッドでは映画「ザ・フライ」のブランドル=フライの様に人間でいえば DNA レベルで融合してしまって異形化した、みたいな設定のようです。Season 3 #07(ep 36) "Predacons Rising" でどうにか元の姿に戻ろうと実験を繰り返していたらしい様子が描かれており、その研究の為ワスプを自分と同じトランスオーガニック体にする実験を行うんですが、その時の装置がまんま映画「ザ・フライ」の転送ポッドだったし、融合してしまう理屈も大体一緒でした。

元の姿に戻りたい、自分を見捨てたオプティマスを許せない、やらでこんな顔になってしまう位には切ないです。それでも最後は元の仲間たちを守るために自ら犠牲になってしまう尊さよ。あとセンチネルがオプティマスに冷たく当たってたの、性格もあるかも知れないけどこの一件も絡んでたんですよね。

可動範囲は全体的にバランスよく狭め。腕可動軸は肩ボールジョイントと肘ボールジョイントの2か所しかないので手首に表情つけるのが非常に難しいです。

腕組みっぽいポーズはこの位が限界。よく見ると破綻していますがぱっと見は腕組みしているように見えると思います。

脚部はまあまあ動きますがバランス取るのが難しい。

で、足首部分を開いてつま先と踵を離すことが出来ます。但しこれをやると接地角度が変わってしまうので膝とか腰で角度調節してバランス取らなきゃならないのでポージングは難しいです。

太腿の長さと膝下の長さが見栄え優先でデフォルメされているので立膝は大変に苦手です。とは言えアニメイテッド玩具でここ迄立膝っぽいポーズできるのはまあまあ優秀な方ではないでしょうか。

股間部はボールジョイントに加えて回転軸があるので胡坐書いたみたいなポーズもまあ取れなくはない。蜘蛛腹は背中側で伸ばして接地させるので後ろにコケる事も無く安定して座らせることが出来ます。意図してませんでしたがビーストモードの爪が良いバランスで光背みたいに見えるのでちょっと仏像っぽさが出ますね。

武器のクローは手首内側にスロットがあり固定可能です。

これは全然公式ではないですが蜘蛛肢を展開して手甲剣的な武器に見立てるとかね。

キングダム型ブラックウィドーと比較すると今のデラックスクラスがかなり小型化してますね。

アニメイテッドのDeluxe同士の比較。どうして見るとアーシーもメットの幅があるだけで頭部自体はそんなに変わらないからもうちょっと身長があれば劇中感出たのかもしれないですね。というか身長が逆な感じがします。

アニメイテッドブラックアラクニアのロボットモードのスタイル、Transformers R.E.D. のプライムアーシーっぽさあるなと思ったので並べてみたら身長や頭身が割と近かった。 R.E.D. は非変形のアクションフィギュアって位置づけだけど思いのほか可動しないからある意味テイストは似ているかも。


  1. Logo - Transformers Wiki
  2. Season 1 #09 (ep 09) "Along Came a Spider"

    素顔は Season 3 #07(ep 36) "Predacons Rising"で初めて晒される。