出自は 1988 年のダブルターゲットマスターですが、日本では発売されていなかったので知名度低めだったと思います。
しかし海外では 2012 年に IDW 発行の「Transformers: More than meets the eye #07 Rules of Disengagement)」にてスカベンジャーズの一員として登場(それ以前にもモブで登場してたらしいですけど)、馬鹿X天才外科医という萌えるしかない変態属性でまあ贔屓したくなっちゃうよね。本編で軽く流されてるけど滅茶苦茶正義と平和に貢献してんのよね1。関係ないですけど「スカベンジャー」って「スカ」+「便」で二重にうんこ的ネーミングで凄く良いですよね!
ほぼ同じ時期に Botcon 2012 Exclusives としてアレックスクバルスキー氏設計のムービーバース AA-12 トマホークのリデコによる玩具や、2016 年に The Official Transformers Collectors' Club のサブスクリプションサービスの1体として Combiner Wars Alpha Bravo のリデコでそれぞれ製品化されています。
そして本作は 2020 年に NETFLIX のオリジナルアニメとして公開された「トランスフォーマー: ウォー・フォー・サイバトロン」でネームドのキャラクターとして登場した事で通常ラインの玩具として再登場を果たした訳です。流れで言ったら IDW 登場が再玩具化の契機になったって感じなのかな?
オルトモード:
オルトモードはセイバートロニアンヘリコプター。1988 年のダブルターゲットマスター スピニスターでは AH-64 アパッチ攻撃ヘリコプターがオルトモードという事になっていて、本玩具でもコクピット周りは恐らくそれを意識した造形になっているんですがオリジナルのスピニスターからして二枚ローターなので結構印象違ってますよね。デザインイメージとして AH-1 コブラのイメージも多分にあったんじゃないですかね。
剥き出しの腕、中途半端な位置の水平尾翼など細かく見てくと突っ込み所になりそうなんですが全体のまとまりが良いのとスピニスターの特徴的なカラーリングのお陰で非常に完成されたオルトモードに見えちゃう設計の妙。アパッチ自体がコブラに比べると非常に幅広でゴツい攻撃ヘリコプターなので、非常にそれ風ではあります。
コクピット脇から左右に張り出したつま先はやや太ましいですが位置的にも機能的にもスタブウイングとして上手く見立てられています。
底面から見るとその異常な設計具合がよく判りますが腹の下見もコクピットがある!という驚きの形状。けどこれ、ひっくり返したり底側を後方から覗かない限りか全然気にならないんですよね。よく見ると左右のスタブウィング(ロボットモードの足首)の固定位置が左右で若干ずれているのが判ります。
下側から見るとこんな感じ。流石にこの角度だと期待の底に窓があるな?って感じですがあんまり違和感はないですね。
ダブルバレルな武器が二種類ついてます。元がダブルターギット2マスターなのでこの武器はそれぞれ Singe (おそらく青い方)、と Hairsplitter (おそらく紫の方)がモチーフになっていると思いますがシージ版では非変形です。元玩具もバレル畳むだけの超簡易変形だったのでパーツ的にはそんな難しくないと思うんですけど塗装コストが爆上げしちゃいそうなので難しかったかもしれないですね。
今回のシージ版はネトフリドラマ版なので、そっちでは特にターゲットマスターではなかっただけなのかもしれないですが(本編未視聴なので判りません)。
尚、Singe は SG-43 シンジとして通常販売で、Hairsplitter は タカラトミーモール限定の SG-EX ファントムストライク スコードロンに付属のバトルマスター SHRUTE (シュルート)として発売されているので、金さえ出せばパートナーターゲットマスターもシージ内で揃えることが出来たようです。シージ三部作以降の玩具ラインはバトルマスターやウェポナイザーなどほかの TF との組み合わせ遊びがコンセプトに組み込まれているのでそういうの好きな人には溜まらんですね(私は組み合わせ遊び苦手なんですが)。
コクピット下にランディングギアがあり展開可能。当たり前ですがこのランディングギアは本当のコクピットになる右足側にしかついてません。
ロボットモードの左右の脛となるコクピットは見た目全く同じ形状なので左右入れ替えてもオルトモードになるのかな?と思って試してみましたが、コクピットとなる側は入れ替えても所定の位置に固定出来ましたが、ダミー側の方が嵌まりませんでした。また足首部分の固定タブが利用できなくなるなどの弊害もあり入れ替えて変形させることはできませんでした。
この原因はコクピット側面を観れば一目瞭然で、ダミー側となる左側の脛の側面には 切り欠きがあって胴体パーツである機体底面の出っ張りと上手く勘合するように出来てるんですね。まあ良く出来てますわ。
ロボットモード:
カラーリングや各部のディティールはオリジナルのスピニスターから継承しています。胴体部分のマゼンタ、両腕のパープル、そして脚部のブルーなど。ローターが V 字に折りたたまれているのもオリジナルからの引用となります。シージ時代の玩具なので全体的にメタリックグレーでウェザリングが施されていますが、これは当時賛否両論というか「否」が多かったですねえ。そうじゃない人でも「まあ許容できる」程度で積極的に「賛」だった人殆ど居なかったと思います。私も「あっても気にしないけど、無い方が良かったね」位の感想でした。
殆どキブルの無いロボットモード。後頭部に生えているテールブームはオリジナル玩具では後方に畳まれたテールブーム基部が若干突出しており、IDW 晩のデザインでは作画によって若干デザインの違いがあるみたいですが、その部分がはっきりと首の後ろから突出しているデザインになっているのを引用してシージ版ロボットでzサインの個性にしているんじゃないかと思います。
これは スカベンジャーズ初登場の #7 の一コマですが、頭頂よりも少し飛び出してるデザインでした。
Spinister (G1) - Transformers Wiki
オリジナル玩具では脚部はヘリコプターのコクピットを展開しただけで左右がつながったデザインだったので、これを素直に左右分離した場合左右の脛部分はヘリコプターのコクピットを左右に割ったデザインになるはずなんですが、
Spinister (G1) - Transformers Wiki
玩具パッケージデザインで左右それぞれの脛がそれぞれ完全なヘリコプターのコクピットとして描かれてしまっている為、シージ版のスピニスターではそれを忠実再現すべく設計されています。最初ロボットモード見た時はどういうことなのか全然理解できなかったっけね。
個人的に非常に感心した設計個所としてはロボットモードではメインローターが固定されるという部分ですね。オルトモードではメインローターはまったくフリーとなっているので非常によく回ります。ローター基部付近にある長方形のスリットですが、ロボットモードではここにテールブームの途中に生えている小さな垂直尾翼のようなパーツが差し込まれて外側に突起が出来、これがローター基部のパーツの凹ディティールに噛みあってローター部分が固定される仕組みです。
これ本当に名設計だなと思うんですが、私の個体はこのローター部の金属ピンが若干浅く刺さっているせいか遊びがちょっと大きいようでガタつきが大きく固定が外れやすいんですよね(´・ω・`)
尚、この付近の丸穴は 5mm サイズなので 5mm ジョイントの部品を取り付け可能なんですが、ほとんどのパーツは形状的にローラーに干渉してしまうので殆ど使い道がありません。
このシージ版スピニスターは兎に角アクションフィギュアとして非常に優秀です。シージ期以降の現在進行しているレガシーシリーズまでの TF はどうやらロボットモードでの可動重視な設計になっていると思っていますが、本玩具に関してはその中でも特に優れた可動性能を誇ると思っています。
武器はいろんな持たせ方が出来ます。通常通り手首の 5mm 穴に把持させて良しですが、肩横、下腕横、脛横、足裏にそれぞれ 5mm 穴があるのでそのどこに取り付けてもそれなりに様になります。あと写真撮り忘れたけど武器同士をスタックすることも出来ます。
腕組みはちょっと苦手。
足首は前後左右柔軟に傾けることが出来るので片足立ちは余裕です。
非常に自然な立膝が出来ます。
腰前屈無いですがスーパーヒーローランディングもなんちゃってではなくちゃんとできます。頭部が見上げ方向に向けないのはちょっと残念ですが。
しかし頭部はうつむき方向には少し可動するので反り返った感じの姿勢で良い感じに前を向くことが出来ます。
傑作 TF コンあったら多分エントリーされる出来のよさよ(´^ω^`)
- スピニスター (すぴにすたー)とは【ピクシブ百科事典】↩
- 「鉄の靴:トランスフォーマー1999」リスペクト。残念ながらダブルターギットマスター直前までしか掲載ないんですが。↩
- aiko- 『花火』music video↩