変圧器たち

へんあつき-たち

トランスフォーマー ユナイテッド UN-14 ディセプティコンラグナッツ

トランスフォーマーユナイテッド」ラインのアイテムですが、このシリーズ名称は多分日本独自のもので、このラインには 2010年の トイラインである Transformsers: Generations の一部(ゲーム「War for Cybertron」デザインの玩具など)、Transformers: Beast Wars 10th Anniversary の一部、Power Core Combiners の一部等、海外の複数のシリーズから摘まんで持ってきた感じの雑多なラインナップだな、という印象だった覚えがあります。

このラグナッツは海外では 2010 年に発売された Transformers: Reveal the Shield というトイラインのアイテムのリカラーですが、最近になって海外版の成型色やマーキングの方が好みだったなあ、と思って居るのですが、ebay あたりを覗いてみたところ、未開封品が USD $300 ~、開封品でも程度良さそうな奴は USD $200 オーバーという絶望的な価格になっていてもうね。皆さん価値を良く判っていらっしゃる(´・ω・`)高騰してるけど弾はそこそこあるっぽいのがまた恨めしい。全然見かけなければあきらめもつくんですが。海外版は主翼や尾翼にキャラクター名をもじった「LU-6 NU-7」という機体番号?がステンシル文字で印刷されていてカラーリングもメインのグリーンの成型色がオリーブドラブっぽくて非常に渋いのです。

兎に角格好良い両形態に非常に凝った変形とギミックをもった傑作トイなんですがそれもそのはず、設計は幸日佐志さんだそうです。個人的な TF トイ最高傑作は「沢山ある」んですがその中でも特にマストなビーストウォーズガルバトロンの設計も幸さんなんですよね。最新はクラウドファンディングのデスザラスの設計も同氏のようですよ!

tfwiki.net

ラグナッツはアニメイテッドで初登場した本アイテム発売当時はかなりの新参キャラでしたが、オリジナル玩具も魅力的でした。発売時期的に G1 ナイズに少しベイバースっぽさを加味した絶妙なリアリティラインのデザインでアニメイテッドの過度にデフォルメしたデザインとは全然違うんですが全体的な印象はほぼ同じという奇跡のような玩具でございます。

変形パターンは大きく異なっているんですが、機首がロボットモードの腋部左右に配置される変形パターンは継承されていてここがラグナッツのアイデンティティの一つでもあります。兎に角傑作なの!

オルトモード:

オルトモードは二発の極太ジェットエンジンを擁する爆撃機。高翼機且つ二発のジェットエンジン搭載の爆撃機としてはナチスドイツのアラド Ar234 あたりが該当するんですが機体のバランスはガル翼に二発のレシプロエンジンを搭載したソビエト連邦飛行艇ベリエフ Be-6 に近い気がします。尾翼は F-4 ファントムの様に先端側が斜めに下がったような形状をしています。これは様々な航空機のミキシングというよりは設計者である幸さんの中の格好いい爆撃機の具現化なんじゃないでしょうか。嫌、根拠は全然ないですけどね。

降着装置は四角く平らな腹部の直下に固定された四輪のタイヤが担っており、この辺りは大型の輸送機っぽくもあります。

機首は前面がキャノピーで覆われており、恐らく WW2 当時の爆撃照準用なイメージ。側面にシャークマウスが描かれていますが、これがまた非常に似合っていて格好いい。このキャノピー部分とその横についている気銃は軟質パーツ製で、機銃は独立して上下方向に可動します。

翼の付け根の大型ジェットエンジンの他に、主翼の外側にも小型の推進装置っぽいものが配置されています。リア側の形状からはアポジモーターっぽくも見えますが、フロント側にはエアスクープ状のパーツもあるのでこれもジェットエンジンなんでしょうか?まさかフラップじゃなくスラスターで姿勢制御するアクティブフロー方式を先取り??(この当時は恐らくそんな発想無かったんじゃないかと思いますが)。メタ的には手首パーツの変形の都合のはみ出した部品なんですが、ロボットモードの手首をオルトモードでこういう処理にするの凄くないですか?

尾部には銃座のディティールがあるんですが、

その内側にスプリング式のミサイル発射機構が備わっているのが個人的には非常にグッときます。MPM-6 アイアンハイドでロボットモード胸部のバンパーがダミーなんだけど、オルトモードのバンパーは畳まれて「ちゃんと」その裏側に配置される、とかに通じるガワと機能の一致みたいなヤツをこれにも感じてしまいます。

天面/底面。ジェット化されていますがシルエットは二次大戦あたりのレシプロ大型機っぽいですね。翼が非常に長く美しいスタイルです。

ここら辺のパーツの合わせが非常に素晴らしく緻密に設計されている感じがして好き。ロボットモードの脚部は前2,後ろ1の爪上のパーツの組み合わせなのですが、オルトモードではそれが綺麗に組み合わさってこの底部に格納されるのも非常に見事な設計だと思います。どこをとっても変形させてて楽しい類の玩具です。

さっきアクティブフローとか言っときながらなんですが、主翼のフラップはなんと可動します!……というのは半分嘘でこの可動はロボットモードで二の腕の太さを調整するためのギミックです。しかしオルトモードでフラップに見えるような分割をしているのは流石。これは絶対意図していると思います。

Voyager class ですが航空機モチーフなので十字にデカく私の狭い撮影スペースでは持て余すほどのボリュームがあります。全長 22 cm、翼長 23 cmなので僅かに横幅の方が大きい(実測値)ので収納にも困る(関係ないですけど Titan class のレビューとかもこなしてるちゃんとしたレビューサイトの皆様、本当に凄いと思います)。

そこで!私の様に狭い家に住んでる人向けの収納モードのご紹介(これはかなり以前にどこかのちゃんとしたレビューサイトで見かけて負けしている奴なので私オリジナルじゃないですけど)。艦載機の折り畳み翼みたいなやつという解釈ですがこのサイズの爆撃機で折り畳み翼なんてあるわけないじゃん!という突っ込みは当然ありますが。

ロボットモード:

アニメイテッドラグナッツを上手い具合にリアルに寄せたな、というデザインでとても良いですね。コクピット屋根部分を畳む関節に使われている赤いパーツもロボットモードで良い差し色になっていると思います。

その異形の巨体は人型からかなり逸脱していますが、プロポーションは滅茶苦茶良い感じ。なんでだ?腕部に癖はありますが可動性能も 2010-2011 発売の玩具としては突出して高く、有り難いことに適当にポージングしてもそれなりに格好良く極まる!今基準でも通用する可動性能だと思います。

口もパクパク稼働してカワイイ!私はアニメイテッドラグナッツは単眼だと思ってたんですが、実は五つ目(中央の単眼に加えて両サイドに左右二つづつの小さい単眼)だったそうですが、ユナイテッド版ラグナッツもこれを踏襲しています。

頭部の側面に見える小さな丸い突起がそれですが前部の巨大な単眼も頭部側面左右に二つずつある小さな単眼もクリアパーツ製なので多分内部的には一体成型だと思います。このクリアパーツは後頭部にまで続いており、集光部分となっているので、恐らく集光ギミックを意図しているんだと思うんですが、どう頑張って後頭部に光を当ててもオプティックに光が届くことはありませんでした(´・ω・`)

腕部にはスプリング仕掛けでスイッチを押すと腕がバシュっと伸びるアームパンチギミックが備わっています。ああ!この画像だと全然伝わらない!これはアニメイテッド版ラグナッツが劇中で披露した Punch of Kill Everything (”すべてを殺すパンチ”:吹き替えではメガトンパンチ)の玩具的実装だそうです。

これ位飛び出してくる滅茶苦茶楽しいギミックです。もう最近の TF 玩具こういう玩具的ギミックがどんどん排されている(これは安全基準的な側面もあると思いますが)ので今後再現される可能性は低く、とても貴重。

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何回も引用してしまいますが TFWIKI の記事によればこのパンチギミックのスプリング部分は非常に故障が多いとのこと。幸い私の個体はスプリングが外れたりしたことないですが、丁寧に扱う必要がありそうです。

前述の通り可動性能に関しては非常に高いです。肩基部に前後回転軸がないので肩可動に関してはやや制限があり、腕を後ろ方向に回せませんが、それ以外は標準以上の可動をしてくれます。下手糞でも格好いいポージングが決まってしまうのは本当に有り難いですね。

特に大開脚ポーズが似合うんですが、私の個体は股間部が比較的緩いので股裂きになりやすくてそこは残念。個体差かな。ジェネリックバーニッシュ的なもの(ダイソーの水性ニス)で渋み調節してるんですがなかなか駄目ですね。他にも私の個体では右手肘関節、肩上下関節がちょっと緩いです。経年劣化もあるかもしれませんが。

スーパーヒーローランディング!膝付いた方の脚が丁度腕に隠れちゃって全く見えないの、ポージングは玩具の力でまあまあ格好良く作れても、写真は下手糞のままなのでなあ……

膝が二重関節というか膝関節が2か所あるという趣で非常に柔軟に可動します。足首もボールジョイントと前後方向の可動軸がある為設置性が高く脚部は本当に良く動きます。

太腿が上を向くレベルのしゃがみポーズも取れる。

取扱説明書では「ミサイルモード」と記載のある形態。尾翼部分に内蔵されたミサイルランチャーを起こして前方に向けることが出来ます。

最近のボイジャーサイズとの大きさ比較。等身はそんなに変わりませんがとにかくボリュームが凄い。

数ある TF トイの中でも変形、両モードのスタイル、プレイバリューと三拍子そろって素晴らしい大大傑作トイなんだけど、どうも価格高騰しちゃってるっぽいのが残念なところ。現在でも全く通用すると思うので再版して欲しい位なんだけど、それにはちょっと知名度低いのが残念なのよね。私的にはオールタイムベストの上位入賞間違いなしだと思って居ます。

これは飛行機 TF でベンチマークの一つであるガウォーク形態。肩部のジェットエンジン吸気部が目に見えるので滅茶苦茶可愛いな。

謎モード。妖怪あみきりとかに近い形状してますね。

そういえば垂直尾翼の付け根に尾翼を倒すための可動軸があるんですけど、取説ではここを倒す様な工程が何処にもなくてちょっと謎です。