変圧器たち

へんあつき-たち

トランスフォーマー ムービー RD-26 N.E.S.T.ディセプティコンロックダウン (2010)

トランスフォーマー /リベンジ(Transformers: Revenge of the Fallen)期に発売された劇中未登場のディセプティコン……日本発売版には「N.E.S.T.パーフェクトガイド」というミニカタログを兼ねた冊子が同梱されており、それによると「ラチェットを倒すために雇われた兵士」とあるので多分陣営に属さない傭兵と思われます。

また、関係図によるとラチェットとの間に「因縁バトル勃発!」と記載されているので、アニメイテッド版での「ラチェットの角を折った相手」のような前日単があるものと想像されます。つまりは見た目もキャラクターや出自もアニメイテッド版ロックダウンから引用されたキャラってことですね。この時はまさか同名の傭兵キャラが次の次の映画(トランスフォーマー/ロストエイジ)でメインヴィランになると思ってなかった。

この見た目のロックダウンは IDW バースでディセプティコンから脱走したデッドロック(つまりは後のドリフトちゃん)を負う雇われハンターとして登場してましたよね!見た目からして別バースの同一人物なのではと思ってますけど関係性はちょっとよくわかりません。やってる事的には IDW ロックダウンはロストエイジ ロックダウンに使い気もするしな……

オルトモード:

アニメイテッド版ロックダウンのオルトモードである派手に装飾された「マッスルカー(違法改造車)」1 を実写再現したような車両になっていて、結果コーマンの大傑作映画「デス・レース2000年」に登場しそうなビジュアルに仕上がっています。

ド派手なフロント周りのせいで一見デフォルメされているように見えますが、全体のシルエットはかなりリアルなプロポーションで S30フェアレディZ か C3型コルベット=スティングレイをベース車両にしてるんじゃないかな?位のリアリティがあります(フロントウィンドウが結構立ってるのがZともコルベットとも違うので多分別の車両がベースだろうなって気はします)。リアコンビランプ周りはちょっと S30の感じありますけど。

リアウィングもこのスケールにしては非常に薄く作られておりリアリティがあります。肉抜きの丸穴まで再現してるしね。しかしエキパイ、君はどうなの? Prime クリフジャンパーでもそうでしたがサイド左右2x2出し、リア2x2出しで8気筒だったら全部独立してんの?高回転域の負圧は要らんの?(ハッタリディティールマシンだからサイド出しがダミーという可能性は大いにありそう)。これは DOTM レッカーズ達の武装 NASCAR みたいにデコられてない車両をスキャンして自分のセンスでスタッズ類を増設した感じなんでしょうか?

フロントの面構えはスモークオレンジのクリアカバーの奥に丸目4灯のヘッドライトが収まってる形状ですが、モールド的に実はヘッドライトではなく何らかのセンサーという可能性もあるかもしれないです。クリアパーツの奥にメカモールドという非常にリッチな組み合わせ。ギャラクシーフォース GC-10 ニトロコンボイも製品版では塗りつぶされていましたがマニュアルに掲載されているグレー試作と思われるモデルではヘッドライト部はクリアパーツの奥にヘッドライトモールドという構造だったので、それを彷彿させますね。

上と下。底面には巨大な鈎爪が首脳されていますが、これが軟質パーツなんですよね(´・ω・`)

アニメイテッド版ロックダウンとツーショット。アニメイテッド版は車幅も広くちょっとバットモービルっぽい趣もあって車種が違う感。全長とホイールベースはほぼ一緒でした。

トランスフォーム:

Derrick J. Wyatt 氏のデザインではオルトモードのフロント部分がロボットモードのつま先となる想定だったと思いますが、アニメイテッド版玩具ではそれが再現されておらずつま先部分のヘッドライトっぽい意匠はダミー(その解決方法は非常に見事な手腕ですが)でしたが、リベンジ版はその部分の設計をリベンジして(上手い!)ダミーではなく実際のヘッドライト部がロボットモードのつま先を構成します。その変形パターン最近どこかで見た気がするぞ?と思ったらレガシー版チェイスにちょっと変形パターンというかパーツ配置が似ていますね。

ロボットモード:

腕周りはガワが多いので直立姿勢だとちょっとわかりづらいですが非常に細い体形です。右腕は完全な鈎手(アニメイテッドでは本編では完全な鈎手でしたが玩具では通常の手首も備わっていました)になっており、鈎の向きがアニメイテッド版と逆向きで爪側が手前に来ています。腕のガワは左右非対称の装甲となりますが左腕側はなんかちょっとショールを肩に掛けたみたいな仕上がりです。脚部も太もも部分のディティールが左右非対称デザインとなっています。また、太もも内部のグレーの目かパーツは膝関節左右スイベルの軸になっていて回転します。

頭部形状はアニメイテッド版から少しアレンジされていて頭巾を被っているようにも見え、なんかちょっと鞍馬天狗っぽくも見えます。オプティックは後頭部からつながるクリアパーツなので集光ギミックあり。よく見るとベイバースのセイバートロン星人でお馴染みのモールドが施されているような気がします(老眼でよく見えないんですよ。。。)

首の形状はこれ、今にして思えばROTB スカージのコンセプト版(スタジオシリーズで出た姿)の元ネタじゃないかしら?どうじゃろ?

こういうポーズ取らせると異様な足長かつ非常にスレンダーな体系であることがわかりますね。等身の異常な高さといい、「スレンダーマン」を想起させる体形という気がします。

足の可動範囲は今(2024)基準ではそれほど高くないですが、膝関節が二重になっていて逆関節化されていることに加え、膝の付け根が左右にスイベルするのでギリギリ立膝が可能です。

変形の都合で腰が折れるのも組み合わせて足組みもできます。これはなかなか無いよね?

地べたに座ったやさぐれポーズとかもイケる。

また足底がでかく安定しているのに加えて膝のスイベルなどを使うことで非常にバランスとりやすい特性があるので片足立ちは大得意な個体です。

ブリスター台紙の裏の説明には "ENGINE CONVERTS TO WEAPON!" って記述されているのでメイン武器は左手に取り付けたエンジンパーツなんですが、コストダウンのしわ寄せのせいか、アニメイテッド版にあった砲身が展開されるようなギミックもなく謎武器になってしまっています。右手の鈎爪はシリンダーと連動して90度まで角度をつけることができますが、あんまりポージングには役立たない気がします。主にオルトモードでの収納時に使う関節という感じ。

引用元のアニメイテッドロックダウンとツーショット。オルトモードではほぼ同サイズでしたがロボットモードではアニメイテッド版のほうが頭一つデカくなってますね。

ロボットモードの肩のボールジョイントは玉も受けも摩耗防止で柔らかめのプラ(ポリアミドかな?)を使用しているため非常に外れやすいのが欠点となっています。

また非常に個性的で格好いいロボットモードですが、変形の都合で左手の下腕部が非常に薄かったり等、オルトモードのデザインを優先してロボットモードのデザインにしわ寄せが来ている部分があり、つまりはこれはオルトモード完全を意図した設計なので私的には大興奮であります(*°∀°)=3

そのしわ寄せを異形の異星人というデザインに落とし込んで完成されたロボットモードにできているのはベイバースのエイリアンデザインだからこそですが、素晴らしいセンスだと思います。トランスフォーマーはその出自からして”ミニカーのような一見変形するとは思えない物体からロボットに変形する”が最大の魅力だっただけに、個人的には今後またオルトモード重視のトイラインが復活してくれることを願っています。


  1. このオルトモード名称はテレビ愛知の「トランスフォーマーアニメイテッド」 web サイト内のキャラクター紹介ページに記載されている公式なもの(トランスフォーマー アニメイテッド|テレビ愛知