変圧器たち

へんあつき-たち

トランスフォーマープライム AM26 スモークスクリーン

国内版のプライム玩具は塗装箇所が極小で色分けの大半はシールで再現する仕様となっており、一部の人にとっては暗黒時代的な言われ方してたんですが、これ多分出荷台数落ちてく中でどうにかして価格の維持をしたいというタカトミ苦肉の策で、単体でのプレイバリュー増すためのアームズマイクロン(組み立て式)まで付けて定価 2100 円という企業努力の賜物なんですよ。ミクロマン世代的にはシール仕様やオプションが組み立て式ってのは原点回帰なので全然ウエルカムなんですけど、ウェルカムな筈なんですけど箱から出した時の驚きの白さったらね!


引用元1

トランスフォーマープライムは卵みたいな鼻の無い顔が【当初は】割と馴染めなくて、ファーストエディション以外は全体のデザインが秀逸か変形が独創的そうな奴位しか買わなかったんですが後半になって「これはこれでアリ!」と覚醒してから主に海外版中心に集めた記憶があります。アニメイテッドでときめいてんだからこの顔だって好きになるの判んだろ自分……

国内版のアームズマイクロンを取り付けるジョイントをリデコで増設というのもターゲットマスターからの伝統なので忌避するつもりはないんですがやっぱりデザイン上のマイナスになってる感は(これはターゲットマスターの頃から)あって極力リデコ前のハスブロ版を買い集めていたんですが、タカラSF玩具で育った私としてはこの時結構「海外版を買って国内版を買わないのは非正規トイを買うよりもタカラの商売に対して悪影響があるのは?」と悩んだもんです。私にとって非正規トイは正規トイと殆ど競合しないんですが、海外版と国内版は確実に競合するので。

そんな事もあって事あれば出来る限り国内版を買おうと思ってR.I.D.版の Knock out はスルーして国内版のメディックノックアウトを買おうと思ったらこいつはボンネットやドア部分に派手めなリデコが加えられていて、だったら頭部と足首下部分しかリデコされてないこっちにするかあ、という経緯で購入に至ったのがこのスモスクです。

オルトモード:

ボンネット中央の青ラインのみシール貼り付け。他は怖くて貼れないよね……フロントウィンドウ側が既に剥がれそうになってきちゃってるし(´・ω・`)

とは言え自動車なんて単色が基本だし、胸部のブルーが再現できていればロボットモードの見た目もそれほど悪くないだろうという判断でスモスクのアイデンティティであるゼッケンも無しです。

リアエンド(ロボットモードの足首下になる部分が丸っとリデコされていて左右の 5mm ジョイントとリアウイングが追加されています。悪くないんだけどその分リアウィングを除いたリアエンド部分が一回り小さく造形されて段差が出来……?でき?いやいや待て待て、これ左側だけ段差になっちゃってんじゃん??右側はちゃんとツライチだぞ?これは回転軸が奥までしっかり嵌ってないのでは……

と思ってこう、回転させつつ正位置と思う方に押し込んでみてもビクともせず、こりゃバリでもあるかも知らんぞ?という事で分解してみる事にしました(記事書いてる途中で)。

先ずは上の画像の箇所のネジを外してみます。このネジ穴位置は結構奥まったところにあって、リアの天井部分が邪魔して普通のドライバーでアクセスできなさそう、と思ったんですが「ドア側のサイドウィンドウ後端部がはまる切り欠き」の真下にあるのでその切り欠き部からドライバーが届くという神懸った設計でした。

しかしネジを外しただけでは分解できず、構造的に内側でロックしてる爪でもあるのかとスパッジャーで丁寧に丁寧にこじっていったところ細い位置合わせピンが接着されている仕様だった為、ピンが折れてしまいました。まあ外せたからええわ。そして外したふくらはぎ側のパーツにもう 1 か所ネジがありました。これはちょっと珍しい構造ですね。

この第二のネジを外してつま先の付いているパーツを取り除くとようやく踵パーツを外すことが出来るようになります。点検しても特にバリや挟み込まれている異物もなく「どういうこっちゃ?左足だけ設計ミスなの?」という疑いが一瞬よぎりましたが外した踵パーツを奥まで差し込んだら問題なく正位置で固定出来ました。一体原因は何だったんだろう?

その後逆の手順で部品を組み付けて作業完了です。位置合わせピンが折れたままですがこのピン以外に 2 つ固定用のタブがあるので最初に外したネジを適切なトルク(ねじ切らないギリの感覚)で締め直しておけばズレることも無いので特に再接着の必要はなさそうです。

組み直した後の車両尻部は段差もなくいい感じでツライチに。今まで全然気づかないのも間抜けな話ですわ。

閑話休題。フロントグリル中央上部は変形に使用する関節があり、塗装されていない為この角度からだとデカい前歯のように見えますが、普通に遊んでてちらりと見える限りでは大きさ的にも日本のナンバープレートに見えるのでむしろリアリティがあります。塗料による関節の癒着を避けるためにここはマスクして塗装されないようにしてるのかもしれないですね。リデコ元の R.I.D. Knock out もこの部分は成型色のままなので。

真横から見るとややフロント下がりなセッティングなのでこの車両はFRで、ドリフトしやすいようにリア荷重抜けやすい様なセッティングにしていますね。

偶々色味が似てるコーヒーカップ使ってたので一緒に写してみました。こういうのお洒落なんやろ?って思ったけど片付いてない机じゃんね。

底面。膝下は判るけどそれ以外はどう配置されているのか(オルトモードが自動車のトランスフォーマーとしては)ちょっと判り辛いですね。これは面白い変形する TF の必須条件ですよね!(十分条件ではないですし、例外もありますが)。

オルトモードでアームズマイクロンを取り付ける場合、付属のエスツーはリデコで追加した車両尻部の 5mm ジョイントは低すぎて床面に干渉してしまうので元からあるドア部後ろの 5㎜ 穴を使うのが無難です。左右ともエスツーの腹部にある 5㎜ ジョイントを利用できますが、エスツーの右足の 5㎜ ジョイントを使う場合は車両右側面側にしか取り付け出来ないですね(天地逆にすれば左側にも取り付け出来ますが……)

ロボットモード:

「頭部」と「踵に追加された 5mm ジョイント」以外は海外版 Knock out のまんまだと思います。私はまだシーズン1のエピソード21までしか視聴していないので追加のオートボットメンバーは影も形も無いですが、TFWIKI(Smokescreen (Prime) - Transformers Wiki) などで見る限りでは白基調のカラーリングで胸が青、意外は全然似てないですね。リデコされたオルトモードのリアウィングは似てますが。オルトモードももっとレースカー然とした車両だし、何よりロボットモードはドアが背中から羽根状に生えているスタイルなんですよね。

背面はかなりスカスカです。 5㎜ 穴が盾に二つ並んだ背骨の様な細いインナーフレームが上半身を支えているようなスタイルですね。全体的にロックが甘く、肩アーマーとなっているフロントフェンダー部や、フロントグリルが変形した腰部両サイドのパーツは各部を動かしているときに簡単にズレてしまいちょっとストレスです。

掌は C 字型の 5㎜ ジョイントを備えた開き手ですが、オートボットに似つかわしくない鋭い爪が生えています。

頭部は新規造形の筈ですが、造形が一寸ダル目で劇中の顔とは微妙に似ていない気がします。

この角度の画像見てフェンダーの内側に Knockout のロボットモードで特徴的な肩部の内側にあるリブ状の縦モールド再現してるのか!オルトモードとの兼ね合いで Knockout の劇中と比べてロボットモードの肩のボリュームが圧倒的に不足してんな、と思ってたけど、こういう工夫があるのを見つけると急に評価が上がるね!今更海外版の R.I.D.Knockout 欲しくなってきてしまって困る。

後頭部にクリアパーツ露出してるので集光ギミックある筈ですが、目はライトブルーに塗装されているので後ろから光を当てても全く発光してくれません。

さて、肩の変形は取説でも上図の様にしか書かれておらず、正解が非常に判り辛いのですが、

フェンダー部分に切り欠きがあり、これを胸側のパーツの角に嚙合わせることで

このように固定することが出来ます。但しここのロックは比較的外れやすいのでロボットモードで腕を動かす際はこの勘合した部分が外れないようにフェンダー側を押さえるように持って行う必要があります。

オフィシャル画像でもこの型部の変形はちょいちょいミスってて、海外のレビュー動画でも結構間違ってる人が居る印象です。上の画像は間違ったままの奴。

酷いのになるとこれ位フェンダーパーツを下げきっちゃってる奴もあったりして、まあこれはこれで別キャラに見立てる時には良いかな?と思うんだけどいかんせん全く固定できないのでちょっと駄目ですね。

可動については要所要所で致命的な制約があって腕組みや立膝は壊滅的に無理です。プライム玩具はそのデザインの特徴で太ももが短く膝下が非常に長い傾向があるので元々立膝は苦手なんですが、Knockout 型はフンドシ部分のフロントアーマーが干渉して太腿部が前方に高く上げられない、ウエスト回転がない。足首可動がない(疑似的に爪先の向きを変えて誤魔化すことは可能)、という三重苦があり立膝はほぼ無理でした。

但し膝は変形の都合もあって非常に深く曲げられるので正座は可能(´^ω^`)

腕組に関しては、これは Knockout 型としては正しいんですが、下腕の前部にサイドウィンドウがそのまま生えているデザインであり、このサイドウィンドウが邪魔で腕組みできないんですよね。肘可動についてはサイドウィンドウを避けて深く曲げる事が可能なんですが、曲げた腕を胸の前に持っていこうとするとフロントウィンドウが邪魔で無理なんですよね。

腕の変形を「間違えると」腕組みできるようになりますがね……

リデコ元の R.I.D. Knockout やその国内発売版のメディックノックアウトではインストラクションで腕の変形が設計の意図通りに記載されておらず2、奇妙で不格好な二重関節となる様な指示がされていたのですが、そのパターンで腕を変形させると①サイドウィンドウが下腕の後ろ側に配置され、②腕が延長され、③関節が増える、事で腕組みを可能としていますが、まあ邪道ですよ。

無理しない範囲での可動はこれ位がいい感じ。

国内版には組み立て式のアームズマイクロン エスツーが付属します。ロボットモードとしての可動は肩部の回転と背部のウィング展開くらいでほぼ置物ですね。言われてみれば(今回の記事書くにあたりピクシブ百科事典読んだりして)、デフコンの意匠が組み込まれていると気付きました。へー

ウェポンモードはボウガン(だと思います)。

二の腕の上側にサイドウィンドウが張り出しているのでグリップ用の 5㎜ ジョイントが武器の中ほどについているエスツーのウェポンモードを持たせるのは角度などに工夫が必要です。

背面にある 5㎜ 穴にバックパックとして取り付けることが可能。これが一番しっくりくるので、背中の 5㎜ 穴も意図した組み合わせなのかもしれないですね。

肩やひじの関節は絶妙な渋みがあるので多少重い武器でもヘタらず保持できるので覚醒ウェポンと相性がいいかも知れない。