基本的に私はジェット戦闘機をオルトモードに持つ TF はあんまり食指が動かないんですよね。それはまあ変形に面白みがない場合が多いからなんですが。特にエアーボット勢は全員似たようなオルトモード、似たような変形ですし、ましてや今回のスペリオン・ゲシュタルトに至ってはフレーム貼りつき合体なので買うか買わんかで結構悩んだんですよ……コンバイナーは基本邪魔だし……エアーボットの手足組は基本ジェット機のガワを背負ってるだけなので見た目も変形も変わり映えしないですしねぇ……


という訳で今回はスルーすることに決めてたんですけれども、タカラトミーモールの誕生日クーポンが丁度来てしまいましてですね、合体余剰パーツが合体して巨大な団扇モードもとへ、空中母艦的な巨大航空機モードが非常に気になってたこともあってえいや!って予約しちゃったんですよ。そしたら手足組を買わない訳にはいくまい?駄目なら売る!の気持ちで覚悟を決めたという訳です。
そのおかげのレビューが今月はこの人と AOTP-04 スリングショットなのです。
オルトモード:
さて、オルトモードは黒い F-15 イーグルですね。前回(10 年前)のユナイトウォリアーズ版では可変翼機の F-14 トムキャットにオルトモードが変更されていましたが、初代のオルトモードモチーフに戻ってきました。
ちょっと寸足らずですがこの特徴的な機体形状は間違いなく F-15 。まあちょっとデフォルメされてる感はありますね。
機体底面は航空機 TF の常としてロボットモードのしわ寄せで全く異なる形状ですが、ランディングギア位置が全然違うのがかなり違和感ありますね。とはいえ最近はコストダウンでランディングギアが省略されていることも多かったのでどうにかそれっぽい造形を追加出来ているのは良い事だと思います。今回リア側はロボットモードの足首側面にモールド入れることで実現していたり、機首側は位置が随分後ろ側ですがロボットモード胸部のオートボットインシグニアのパーツにランディングギアを仕込んで展開式にしているのは「工夫したな!」って感心しました(いずれもモールドのみでコロ走行は出来ません)。この設計はハスーイの末裔こと蓮井章悟さんのようです。蓮井さんはスタスクの設計を数多く手がけていらっしゃるので同じ F-15 って事で担当されたのかな?
底面。冒頭でエアーボット部隊の手足組はつまらん変形みたいなこと書いてしまいましたが、今回のエアレイドは脚部の変形にオリジナリティがあって膝下の箱組は前後で分かれてそれぞれ別々に畳まれる設計です。足首部分が綺麗に収まる構造とかも美しいですね。
ロボットモード:
エアーボット部隊、G1 最初期のスクランブル合体コンバイナーって事もあってなのかロボットモード自体にオルトの意匠がなさ過ぎるのがトランスフォーマーとしての魅力を削いでると思うんですよね(※個感)。
ディセプティコンシーカーズであれば胸コックピットとかですね、キャラデザイン上もロボットモードに航空機の意匠が残るんですけど、エアーボット部隊はそういうのがほぼ無くて1、概ね全部背負っちゃってるのがまあ残念な感じなんですよ。特にエアレイドの膝下側面はキャラデザでは尾翼の意匠もなく、本体はたぶん航空機の側を全部畳んで背負っちゃってるだけのデザインなので面白みがない + 玩具ではキブルで表現という変形玩具的視点ではちょっと残念のコンボになっちゃってますね。
そうは言ってもですね、変形パターンはそれなりにブラッシュアップされていて、今回は膝下の変形がレガシー スリップストリームに似た方式でロボットモード時には 2 基のジェットノズルが完全に隠れる設計になっています。
頭部ヘッド。キャラデザではもうちょっとヘルメット側面の形状が逆「ハ」の字でもうちょっと山崎努版の田治見要蔵(@八つ墓村)感あるんですが、AOTP 版は山伏位の印象ですかね。
AOTP シルバーボルトもそうでしたが、決してイケメンではない造形で、頬骨がちゃんと作られているのがアメコミキャラっぽさを醸していて好きです。


設定画と比較するとまあ全然違うんですが、劇中のイメージにはまあまあ似ている様な気もします。
可動性能はちょっと低め。必要な可動軸はウエストロール、足首接地含めて一通り揃っているんですが、脚部は変形の都合による膝上膝下バランスなので「立膝が出来ません」。
腕組みは(胸部がフラットなこともあって)まあまあそれっぽく出来ますね。尚武器はハンドガンが二挺付属しますが、劇中では多分一挺しか使っていない筈です。これはオルトモードで翼下に搭載する為、左右でバランスとるために二挺付属しているという事だと思います。武器を手持ちしない時は背負った主翼の 5mm ポートに接続しておくことが出来るので悪くないですね。
拳の形状がちょっと独特で薬指と小指の部分は輪が塞がっていません。これ拳の小指側に 5mm ポートとしての保持力が無いのでよっぽど軸が長い 5mm ジョイントじゃない限り逆手で把持させることが出来ないって事なんですが、握り手がより自然な感じになっており、見た目が改善されています。
二挺拳銃と言えばガン=カタ。手首に回転軸あればなお良しだったんですが、ここまで出来れば(立膝できないから俺基準では可動性能低めのとか言ってましたけど)十分じゃないでしょうか。
変形の都合でかなり深い角度で首を上に向けることが出来るのでそこは標準的な可動性能よりも優れていますね。
エアーボットなんですがフィギュアスタンド用のホールは設けられておらず、アームでの保持が必要です。
脚部の変形パターンが似ているレガシー スリップストリームと。サイズ比較の意図でしたがスリップストリームがちょっと判りにくいかな?最近は同じ Deluxe Class でもサイズ感結構ばらけてるからアレですが、コンバイナー手足ロボサイズなので微妙にサイズ感が異なってるのかもしれません。
コンバイナーモード:
コンバイナーモードは私の中ではちょっと脳内協議が必要なレベルですね。
機首両サイドのエアスクープはロボットモードでも丸ごとクランク移動して背部に移動するんですが、コンバイナーモードではそこから更に機首をクランク移動してその後ろに背負う形になってしまうので厚みが非常に増してしまいます。
これがそのまま脚部になるんだったらこの厚みも許容できるんですが、今回はコンバイナーモードの膝下はそれだけで成立する形状のフレームに取り付ける方式なのでロボットモードの腕から機首まではまんま脹脛の裏側に出っ張った形ではりつくんですよね。
張り出し過ぎやで(´・ω・`)……
メナソーの時は「コンバイナー時にスポーツカーの厚みだけでは腕や足の厚みを確保できないので、その厚み分を補完するためのフレーム」としてフレーム合体が発明されたと認識してるんですが、スペリオンの膝下フレームは「それ単体でロボットのスタイルとして成立する厚みがあり、その後ろに足担当ロボが取り付けられる方式’の為に違和感が凄い事になっています。
コンバイナー全体でみても「脹脛の後ろに余計なもんが張り付いてる」感あって、少なくとも脚側に関しては今回の方式あんまりあってないんじゃないかって気がしますね……
なお、コンバイナー時はエアレイドの武器が余剰となりますが、これは畳んだ主翼の 5mm ポートに取り付けておけばいいと思います。
でも単体ロボはポージング下手糞儂でもまあまあええ感じのポーズがビシバシ決まるのでヨシです!
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ここで言ってるのはキャラクターデザイン上ロボットモードのデザインとして取り入れられたオルトモードの意匠、なので判りやすく言えばコンボイの胸部フロントウィンドウとか、ランボルの胸ボンネットとかの事です。
エアーボット部隊ではシルバーボルトの肩部翼状デザインがそうかな?と思うんですが、これはダミーなので明確な「変形の残滓」ではなくそれっぽい雰囲気の奴と考えるので私的にはちょっと微妙に違う感じ(ここ AOTP 版含め過去玩具で実際のオルトモードのだったこと一回もなくて全部ダミーなのでオルトモードのどの部分なのかも判らんですしね)。
スリングショットの脚部に残る主翼などはキャラクターデザインにも存在しますが、どっちかっていうとキブルなのでまた別の概念という気がします。↩