タカラトミーの「エイジ・オブ・ザ・プライム」ラインとしては最初の玩具。前に「スペリオン愚考」って記事でエアーボッツはスタンティコン方式の手足フレーム張り付き合体は違くない?って書いてこれは買わんかもなあ……って思ってたんですけど結局予約しちゃってんのね。まあタカラトミーモールの誕生日割引があったからなのです。くぅー!これで残り 4 体も買わなきゃならなくなったという事ですよ。
さて。
トランスフォーマー、特に G1 の新規性ってロボットで人間を描こうとしていたところで、ソープオペラじゃないけれどある種の群像劇をやろうとしていてその哲学はロボットヒーローもののロボットなのにイケメンが少ないとこにも表れてるんじゃないかな?と思わなくもないのです。劇中明らかにイケメン描写されてる奴居ないですよね。日本ではスタスクが鈴置さん Vo. でイケメン感強かったけど原語版の Vo. はヘタレ嫌味野郎感満載で仮にイケメンだとしても「性格が残念なイケメン」みたいに描かれてるし、格好いいキャラもあんまり顔で勝負している感が無いんですよね。
このシルバーボルトにしても、転生前は低高度輸送機だったという労働者出身(出身?)の生真面目キャラ。とても格好いいスーパーロボットではない訳です。しかし TF はそれが良い。何かに変形するロボットというだけで十分格好いいので見た目はちょっとおっさん臭かったりくらいがちょうどいいのです。
さて、今回のシルバーボルトは合体機構のほとんどすべてを担う Commander Class 玩具なのでオルトモード、団扇モード、ロボットモードとバトルステーション、そしてスペリオンの大体全部と多彩な変形パターンを持つため取説も非常に分厚く折りたたまれています。スペリオンは少なくともあと 4 回レビューするのでサクサク行きますね。
オルトモード:
オルトモードはコンk……コンコルド?大雑把にはコンコルドに見えなくもないですが今回かなりオリジナルの航空機になってますね。実際のコンコルドの主翼はもっと三角定規(半正三角形)みたいな翼形状ですが本シルバーボルトのオルトモードでは分度器みたいな絶妙にダサい形状になっていますが、これは多分シルバーボルトのオルトモードの設定画に準拠しています。
客席の窓が一直線に並んでない(途中で段差がついてしまっている)のはまあデザインとして百歩譲るとして、コクピット位置が客席の一段上に配置されてしまっているのがコンコルドっぽさを殺してて残念至極ですねえ。この辺はライセンス的な理由の、意図的に似せない工夫なのかもしれないですが。
前後のランディングギアが展開可能ですが、スペリオンの後頭部に配置された前輪側も素晴らしいですが、ロボットモードの左右フロントスカートの端にモールドされた後輪側が、フロントスカート部の可動を流用したランディングギア展開というアイディアが光っています。こういう工夫大好き!
天底。恐らく幅広の胴体部分を隠すためでしょうが主翼の幅が非常に広く「超音速」感皆無ですね。
機首は安全対策もあり丸められている為、コンコルドの特徴的な尖ったノーズコーンを再現していません。ノーズコーン部分が黒いのも大昔の旅客機みたいでコンコルド的ではないですね。しかしコンコルド特有の機首下げギミックが搭載されています。
この機首下げギミックはわざわざ機首を下げることが出来るように、切り欠きを設けているので意図的な設計だと思います。飛び立つときに機首が下がってるのは非常にコンコルドっぽくて良いですね。
オルトモードでは余剰になってしまう武器(小)は機首下の 5㎜ ジョイントに取り付けておくことが出来ます。
オルトモード(ブースター装備):
あーこうやってみると案外格好良いですね。このモードを受け入れることが出来るかどうかでこのシルバーボルトの評価は大きく変わってくると思うんですよね。私は好き評価だったので助かりました。
とはいえ「じゃあこれはなんなんだ?」という疑問にはケリをつけたいですよね。私のタイムラインでは「空中空母的な」とか「大型ブースター」的な解釈が多くあり私の当初の「団扇みたいだな」の印象を上書きしてくれたのが功奏したと思います。サンキュー!タイムラインのみんな!
「コンコルド」部分は全く接地せずにブースター部分のみで安定して接地しています。完全にテールヘビー。
真上から見ると形状的には団扇、フライパン、ラケットなど、「コンコルド」部分の主翼から繋がる幅広の後部の印象からおよそ航空機らしからぬイメージしか湧いてこないんですが、スペリオン時の胸部になる構造物が尾翼の後ろ側に配置されているのがデザイン上のアクセントになっているのと、幅広後部の最後尾から短く伸びているウイングレット(ではないですが)のお陰でちゃんと航空機としてのデザインが成立していると思います(思います?)。
とはいえ Flying pancake ならぬ Flying flat paper fan (空飛ぶ団扇)みたいな愛称が与えられそうな形状なのは免れ無さそう(これに関しては Twitter (旧称)で「フライングフライパン」という秀逸愛称を提案されていた方がいらして感心しました。英語圏だと団扇も扇子も「paper fan」なので「団扇」を特定したネーミングにすると長ったらしくなっちゃって我ながらダセえな、と思っていたので)
底面から見るとこのままスペリオンにトランスフォームしそうなカラーリングになっていて(上面から見た時にトリコロールカラーを隠す皺寄せではあるんですが)、これはこれでまたいい感じ。
我が家の航空戦力、スリップストリーム位しか今手元にないのでこれですが後部を飛行甲板に見立てるとすると Deluxe Class はちょっとデカいですね。
オリジンバンブルビー位のサイズが丁度いいですね。彼も Deluxe Class 玩具ではあるんですが、多分 Core Class 航空戦力が滅茶苦茶丁度いいのではないでしょうか。私は全然買ってないですが。ミニコンとかなら尚良いかも。
後部ブースターユニットのみだとこうなります。前部との合体は 2 つの赤いコの字型パーツでシルバーボルトの太腿部分をガッチリ咥え込んで固定したうえで、主翼部分のかみ合わせを利用して一体化させる感じなので前後がガッチガチに固定されます。
機首部分のヒンジはこのブースター部分の重量を支える程の強度が無いので、団扇のつもり(卓球のラケットと評していた方も居ましたが)で「柄」の部分を持つと、ポッキリいってしまうので注意が必要です。
私は原則としてオルトモードでは手持ち武器を完全に隠したい派閥なので(自動車フォーマーで側面とかテール部分に無理やり武器を固定して「余剰なしですヨ!」ってアレはキライ、何なら今回みたいな機首の下あたりに取り付けで「オルトモード時の武装ですヨ!」というのももともとそういうデザインの機体じゃなきゃちょっと嫌。今回のシルボルのオルトモードは窓のモールドからも旅客機なのでそんな大砲を機種に搭載するのは駄目でしょ?)、シルバーボルトの手持ち武器も出来れば完全に隠し果せたいと思ってたんですが、ブースター部の垂直尾翼部分を外した下の隙間に丁度良く突っ込んでおくことが出来たので、本玩具は「合格」です!(我ながらうるせえよw)
「コンコルド」側の尾翼はブースター増設時は左右に割って開きにするんですが、この変形はブースター増設モードでしか使わないんですよね。この辺はブースター増設ではなく巨大航空機に見立てるという拘りかも知れません。マーク氏の Instagram の解説読むとここのモールドはオートボットインシグニアになっているそうなんですが、私には確かになんかそれっぽいモールドだな?位にしか見えないですね(´・ω・`)
ここはもうこれだけでドダイ YS 的なサブフライトシステム的な……と思ったんですが良くてディスプレイベースにしか見えないですね……これを浮かせて撮影すればワンチャンあるかもしれないんですが我が家のディスプレイスタンドでは無理なのよ。シルバーボルト本体と絡めて遊ぶんだったら素直に擁壁モードの方が良いですね。フットプリントも小さくなるし……
ロボットモード:
取説的には主翼は開いたままにしとくのが正解ですが、ちょっと劇中と印象川ちゃいますよね。畳んでおくことも出来ます。
タカトミの宣材画像とかだと滅茶苦茶寸胴に見えますが、実際にはそこまで酷く……この画像でも随分寸胴に見えるな……実際の玩具ではそこまでスタイル良くはないですが……寸胴だな……あー嫌しかしですね、この画像よりは実際に手に取ってみた方がスタイル良く見えます。若干ですが。
肩のウイングは当時玩具でもアニメデザインでも再現されていますが、これは当時玩具では余剰の胸部パーツ側のモールドだったので実際のオルトモードのどのパーツでもないのでダミーパーツなのはある意味正解です。
設定画のモールドはおおむね拾っていますが、今回は膝下がスペリオン時の肩を構成する都合上、独特の形状になっているので足首の収納方法が異なり劇中とはちょっと違う印象になっています。
側面から見ると背負い物がデカい。これはこれで非常に上手くまとめられているんですが機首が消えるようなマジックは今回取り入れられていません。あと変形の都合で肘下裏側がかなりスカスカ。ここは原型パターンやスペース的に ThirdParty 製のフィラーも難しい(変形時に取り外す方式とかならまあ)ので、諦めが肝心。
背負い物は大きいですが大きな踵が展開するので自立安定性は非常に高いです。
背面。割り切りましょう。主翼を畳めばもうちょっとね……
主翼を畳むとこんな感じ。あんまり代わり映えしなかったわい。でも遊んでる時はそんなに気にならないから大丈夫。それよりも脹脛部分、ここはスペリオンの肩部としてシルバーボルトよりも肩幅を広げるパーツとして使われているので胸部のちゃんちゃんこと同じカラーとなっています。
顔。いい感じのおっさんですね。初登場回では多分顔もメットと同じ白色で塗られていたと思いますが本玩具では銀塗装になっています「シルバー」ボルトだから?
なんというか「卑弥呼様~!」的な独特な頭部側面の形状はアニメーション作画からの最大公約数的なイメージを上手い事アレンジしてどうにか格好良く仕上げた感ありますね。個人的にはこのヒロイックじゃない感じに G1 みを感じるので滅茶苦茶素晴らしいスカルプトだと思います。
ロボットモード時に武器を手持ちさせない時の保持位置はここになります。
主翼を畳んだ時にはここに同様のスロットがあって武器を保持出来るんですが、ちょっと緩いのでモールド的に処理した肉抜きが偶々いい塩梅に使えてるだけの可能性も微レ存。
スタイルは悪めですがポージング性能はかなり高いと思います。
腕組みっぽいのもイケますが、下腕の甲側のスカスカ差が目立ちますね。
立膝は太腿が 90° までしか上がらないので少し上体が傾いてしまいますが可能。ただし膝接地側の脚が背部のキブルと干渉するので向きに制限があります。
足首を畳んで足底で接地させるという「ズル」をすれば状態はかなり垂直な姿勢を保てます。
爪先が平らなのは多々不格好ですが、両足つま先立ちでも自立するというなかなか素晴らしい体幹の持ち主。まあこの状態で飾って置いたらすぐこけてしまうと思いますがポージング楽しいですよ。
ガウォークはちょっと無理め、ちょっと通りますよにしかならなかった。
格好良いかな?って思いついたけどそうでもない。構造としてロボットモードの全部がオルトモードの主翼下に隠されてるだけってのが視覚的に判りますね。
これはミニミニスペリオン。
Mr.オセロマン!(渾身ギャグ)前後逆だけど……私はふくやまけいこ先生の「福袋」という単行本に収録のイラストエッセイ「えんにちあいこうかい」でこの作品を知ったのでつい「ふくやまけいこ先生大絶賛!」とか言ってしまうんですが、本当に絶賛しているかどうかは不明です。
今電書で読めるんだ!お勧め!
SS86 オプティマスと並べると、トイラインは異なりますが良い感じのサイズ感。
最新エイジ・オブ・ザ・プライムの 01 と 02 あわせ。ソラスプライムは Deluxe Class の標準的な大きさだと思うのでサイズ感が判りやすいと思います。
ベースモード:
所謂基地モードなんですが、可搬式防御戦闘ボジション(Mobile Defensive Fighting Position / M.D.F.P.)とかそんな感じの「壁」ですね。上部に大口径の砲を固定できるので防護銃座という解釈も出来るかも知れません。
正面 / 裏面。オルトモードのブースターの組み換えですがベース部分はそのまんまです。スペリオンの胸部 - 腰部部分の取り付け位置が変更されています。
側面 / 上面。実は胸部ユニットが滅茶苦茶突出しています。んまあ見立ても見立てなんですがサイズ的にも良い感じでこれはこれでプライバリューあるんじゃないでしょうか?
もっとこう、腕脚パーツを組み替えて横に長くしたらいいんじゃないの?とか思ったんですけど、そうするとレガシーモーターマスターのベースモードとあんまり変わり映えが無くなってしまうので差別化のためにこういう形状にしたんじゃないかと思います。
実際にはこんな感じで身を隠して使うのかな?という気がします。
ブチギレちゃったらこう(´^ω^`)
防弾壁なのに真ん中に大穴空いてんじゃん!と思ったけどこれ銃眼を意図している可能性ないですか?……どうだろう?ないかも。
コンバイナーモード:
シルバーボルトのみだとここまで。肩幅はこれで完成ですが縦方向はウエストより上までしかないです。胸部前面(良い感じの胸板担当)及びウエストから太腿まではメナソー同様別パーツになります。
これがシルバーボルトの合体モードの完成形です。ここに腕脚のフレームが合体し、そこに各手足担当が張り付くというレガシーメナソーと同じフレーム方式を採用していますが、これは多分メナソーとサイズ合わせるためにはこの方法が最適って事になったんだろうな?という気がします。
手足担当メンバーを Voyager Class + 合体用パーツで構成すればこのジョイントを使ってスペリオンを完成させることが出来たのではないかしらん?と思ったりもするんですが、多分 size class 価格帯が破綻してしまうとか単純にコンバイナーまでの合計金額が高くなってしまうという問題点があったんだろうなあ、と思います。けどまあ ThirdParty がこの胴体用のフレームを使わない手足組を出すとかですね、G2 カラーん時に手足組を Voyager にしたセット箱出すとかですね(鬼畜)やりようはなくは無いんですよ……やめて欲しいですが。まあでも!スペリオンでも作画によってフレーム貼り付け合体の時あるから今回のはこれで良いんじゃないでしょうか?
太腿の付け根が前後逆になっているのはご容赦を……フレーム合体方式の美点としてはコンバイナーモードのスタイルが良いってのと、関節強度が十分確保できることでしょうか。ユナイトウォリアーズ版の自立も覚束ないおじいちゃんコンバイナーとは鍛え方が違う。
欠点は観ての通りこれだけでほぼ完成してるじゃん!という点でしょうか。腕担当の「先にフレームに取り付けてからフレームを伸ばして完成」の工程を鑑みるに腕脚のフレームは空のまま組付けるのではなく、手足担当をフレームに取り付けた後、合体させるのが「正しい」と思います。
ゴーグルアイ、マスク顔なのに鼻筋があるという無個性な癖に特徴的なスペリオンの劇中フェイスを完全再現しています。尚、側部のアンテナは 3mm 軸で取り付けられている為取り外すことが出来ます(破損防止かな)。
個人的にはオリジナル玩具、およびスタジオ OX 版のゴーグルアイ、口有り顔も好きだけど、セット箱の時にリツールされてくるかね?その前に ThirdParty が出してきそうではありますが。
武器はブースター側の垂直尾翼とシルバーボルトの手持ち武器を組み合わせたライフル状のもののみ。長さ的には申し分ないんですがボリュームはもうちょっと欲しい気がします。
ああー!シルバーボルトの羽根畳んだ時の武器マウントスロットみたいな奴、コンバイナー時に武器手持ちしない時用のこの武器をマウントしとくためのスロットだ!武器側面のタブにぴったりでした。
スペリオン = ゲシュタルトとしては全合体してからの方が良いのかな?けどメナソーの時にそういう記事書いたかどうか覚えてないんだけどまあええか(これが最後になったり)。
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